子どもの頃、年末が近づくと街の空気が少しだけ特別になった。
イルミネーションが灯り、どこか浮き立つような雰囲気があった。
そして、クリスマスシーズンになると必ず耳に入ってきた曲がある。
山下達郎さんの「クリスマス・イブ」。
JR東海のあのCM——
雪のホーム、すれ違う恋人たち、静かな夜に響く達郎さんの声。
あれが流れると、クリスマスが本当に近づいてきた気がしていた。
曲だけでなく、あのCMそのものが季節の象徴だった。

あの音楽が流れるだけで、一瞬で当時の空気が戻ってくる。
それが、いい。
いまではそのCMを見ることはほとんどなくなったけれど、
僕たちの青春時代にとって、
年末年始を象徴するCMといえば、間違いなくこれだった。
子どもだったあの頃。
何も考えず、ただワクワクしていた年末。
大人になった今、当時とは違う表情でこの季節を迎えているけれど、
ふとした瞬間に、あのメロディやフレーズが頭をよぎる。
それだけで、少し心が柔らかくなる。
忙しい年末でも、悪くない。
