中秋の欠けた月を見て思う。花むらは、ツクヨミのようなお店になりたい。

昨日はお月見でした。

夜、空を見上げてみると、少し欠けたお月様。

おお……。

まん丸じゃない(笑)。

少々残念ではありましたが、それでも月は月。

スーパーで買ってきたお団子を食べながら、しばらく眺めておりました。

一個。

もしゃもしゃ。

二個。

もしゃもしゃ。

……。

たぶん4個くらい食べました(笑)。

そんなことをしながら月を眺めていますと、僕の日本神話好きの脳から、ある言葉がむくりと頭をもたげてきます。

「ツクヨミ」。

月読命(ツクヨミノミコト)。

皆さん、ご存じでしょうか。

日本神話に登場する神様です。

そして突然ですが、

花むらは、

「ツクヨミのようなお店」

を目指したいと思っています。

……。

何を言い出したんだ、この弁当屋は。

と思われるかもしれません(笑)。

ちゃんと理由があります。

ツクヨミは、日本神話でもかなり重要な神様です。

『古事記』では、黄泉の国から戻ったイザナキが禊(みそぎ)をした際、

左目からアマテラス。

右目からツクヨミ。

鼻からスサノオ。

という三柱の神様が生まれます。

いわゆる「三貴子(さんきし)」です。

アマテラスには高天原。

ツクヨミには夜之食国。

スサノオには海原。

それぞれを治めるよう命じられます。

もう完全に神話の主役三人組じゃあないか。

ところが、である。

アマテラス。

その後、日本神話のど真ん中を堂々と突っ走ります。

スサノオ。

泣く。

暴れる。

追放される。

そしてヤマタノオロチまで退治する。

とにかくキャラが濃い(笑)。

では、我らがツクヨミは?

……。

ほぼ出てこない。

三貴子じゃぞ(笑)。

あれだけ堂々と登場して、夜の世界を任された途端、

「では、失礼します。」

とでも言ったかのように、『古事記』の表舞台からすうっと姿を消してしまいます。

何をしていた、ツクヨミ。

なぜ語られない、ツクヨミ。

僕は昔から、こういう神様が妙に好きなんです。

目立たない。

前にも出ない。

でも、月はずっとそこにある。

そして昨日、月を眺めながら思いました。

花むらも、そんなお店でいいんじゃないかな、と。

お弁当は、人生の主役ではありません。

今日のお昼に何を食べたかなんて、一週間後には忘れているかもしれない。

豪華なレストランのように、

「今日は花むらへ行くぞ!」

と朝から正装して来られる方も、

おそらくいません(笑)。

でも。

仕事へ行く途中。

忙しい日の昼休み。

晩ご飯を作る時間がない日。

会議の日。

運動会の日。

法事の日。

家族が集まる日。

「あ、今日は弁当にしよか」

そんな時に、

ふと花むらを思い出してもらえる。

それでいい。

いや、

それがいい。

月も、そうなのかもしれません。

太陽のように強烈に照らさない。

昼間には、そこにいることさえ忘れてしまう。

夜になっても、毎日まん丸ではありません。

欠けたり。

雲に隠れたり。

昨日みたいに、

「ちょっと惜しいなあ」

という日もある(笑)。

それでも、

ふと夜空を見上げれば、そこにいる。

毎日、

「私を見て!」

とは言わない。

でも、ちゃんとそこにいる。

花むらも、そんな店になれたらいいなと思います。

毎日派手なことをする店でなくてもいい。

SNSで毎日バズらなくてもいい。

日本中の人に知られなくてもいい。

日本一のお弁当屋じゃなくてもいい。

もちろん商売ですから、

売上も利益も大切です。

会社を続けていくためには、成長することだって必要です。

でも、

「日本一にならなければ意味がない」

とは、僕は思いません。

朝、仕事へ向かう途中に寄ってくださる人がいる。

お昼になったら、

「今日は花むらにしよう」

と思い出してくださる人がいる。

晩ご飯を作るのがちょっとしんどい日に、

頼ってくださる人がいる。

会議や法事、家族が集まる日に、

花むらのお弁当を選んでくださる人がいる。

誰か一人でも、

「ここに花むらがあってよかった」

と思ってくださる人がいるなら、

それでいい。

いや。

それが一番大事なんじゃないかと思います。

日本一でなくてもいい。

世界を変えなくてもいい。

誰かのお役に立っているなら、

それでいい。

主役じゃなくてもいい。

でも、

なくなると少し困る。

そんな存在でありたい。

月だって、

「俺が夜空で一番や!」

なんて言いません。

……たぶん(笑)。

それでも何千年もの間、

人は月を見上げてきました。

ツクヨミ。

『古事記』では、あんなに早々と姿を消してしまったけれど、

何千年経った今でも、

僕らはこうして月を見上げているよ。

なかなか大したもんじゃないか。

花むらも、

そんなツクヨミのようなお店になれたらいいなと思います。

目立たなくてもいい。

大きくなくてもいい。

でも、誰かの日常の片隅で、

ちゃんと役に立っている。

そんな店でありたい。

……などと壮大なことを考えながら、

4個目の団子をもしゃもしゃ食べておりました(笑)。

お月様。

ごちそうさまでした。