僕は読書が好きだ。
・・・いや、正確には少し違うかな。
読書家であると同時に、本のコレクターでもある。
ネットを見る。
面白そうな本を見つける。
ポチッ。
また見つける。
ポチッ。
気が付けば、我が家には新しい本が次々と到着する。
その瞬間の僕は実に幸せそうな顔をしているらしい。
「おお、来た来た!」
と、まるで宝物でも届いたかのようにホクホクしている。
しかし問題がある。
仕事が忙しい。
なかなか読む時間がない。
結果として、本は読まれぬまま積み上がっていく。
経営の本。
歴史の本。
神話の本。
マーケティングの本。
AIの本。
気が付けば部屋のあちこちに小さな図書館が建設されている。
そして、ついに妻がキレた。
「買うのはいいけどさ・・・」
「本が場所を取るのよ。」
「せめて電子書籍にしてくれない?」
なぬ?
電子書籍?
いやあ・・・。
それは嫌なんだよなあ。
もちろん便利なのは分かる。
場所も取らない。
検索もできる。
持ち運びも楽だ。
理屈では完全に電子書籍の勝ちである。
だが、どうしても僕は紙の本が好きなのだ。
ページをめくる感触。
本棚に並んでいる姿。
少し黄ばんだ紙の匂い。
読み終わった本に付いた折り目。
それら全部を含めて本なのだと思っている。
酒飲みの読書家である僕からすると、
電子書籍というのは、
どこかノンアルコールビールで酔った気分になろうとしているような感覚がある。
もちろん味は似ている。
雰囲気も近い。
でも、なんだか違う。
そんな気がするのだ。
・・・と力説したところで、
妻は僕を見て、
「は?」
という顔をした。
当然である。
しかし今日も僕は懲りない。
積読の山を横目に、
また新しい本を探している。
本当に欲しいのは知識なのか。
それとも本なのか。
その答えは、たぶん僕自身にも分かっていない。
