「お米が高い。」
最近、この言葉を耳にする機会が増えました。
スーパーでも飲食店でも、「値上げ」という言葉とともに、お米の価格がじわじわと上がっています。
私たち弁当屋にとって、お米はまさに「命」。
お客様に「美味しい!」と喜んでもらうために、いつも最良のお米を選んできました。
しかし、仕入れのたびに価格が上がっていく現実に、正直なところ頭を抱えています。
「いったい、どうしてこんなことに…?」
そんなことを考えているうちに、ふと、最近読み返していた「古事記」のことが頭をよぎりました。
日本の神話において、お米はどんな存在だったのか?
その答えを探るように、ページをめくってみたのです。
🌾「瑞穂の国」と呼ばれた日本
古事記の中で、日本は「豊葦原瑞穂国(とよあしはらのみずほのくに)」と称されています。
これは、「葦が生い茂るほど豊かな土地で、稲穂が美しく実る国」 という意味。
稲作は、ただの農業ではなく、日本の根幹を支える神聖なものとされてきました。
その象徴が、「天照大神(あまてらすおおみかみ)」が孫のニニギノミコト に授けた「稲穂」です。
「この稲穂を持って地上に降り立ち、人々に食の恵みをもたらしなさい。」
そう命じられたニニギノミコトは、「天孫降臨」 という神話の中で、
高天原(神々の世界)から地上へ降り、日本の国造りを始めます。
🌾 お米は「神の贈り物」だった
天照大神が授けた「稲穂」は、ただの食べ物ではありません。
それは 「人々を生かし、国を豊かにする神聖な恵み」 でした。
実際、日本の神社では今でも新米の収穫を祝う「新嘗祭(にいなめさい)」という儀式が行われます。
これは、神様に感謝を捧げながら、新米をいただく伝統行事。
つまり、お米は昔からただの主食ではなく、
「神と人をつなぐもの」「日本という国を形作るもの」 だったのです。
🌾 では、現代の私たちは?
…と、ここまで神話の話を書いてきましたが、
「じゃあ、お米が高くなるのも神の思し召しなのか?」というと、さすがにそんなわけはありませんね(笑)
だけど、古事記を読みながら、ふと思いました。
「お米は神の恵みとして大切にされてきたのに、今の私たちは、それを当たり前に思いすぎていないか?」
コンビニに行けば、いつでもおにぎりが買える。
お米は、炊けば毎日食べられるもの。
そんな「当たり前」が揺らぎ始めた今、本当の価値を見直す時が来ている のかもしれません。
🌾 「花むら」と「お米」
花むらでは、「お米が美味しくなければ、お弁当ではない」 と考えています。
だからこそ、これからもお米選びには妥協しません。
たとえ価格が上がっても、神話の時代から受け継がれた「食の恵み」を大切にしていきたいと思っています。
これからも、美味しいお米を皆さんにお届けできるように。
そして、「日本の食文化」 を守りながら、お弁当を作り続けていけるように。
今日も、一粒一粒に感謝を込めて、お米を炊き上げます。