吉野家に、いま話題沸騰中の「まぜそば」を食べに行ってきた。
吉野家といえば牛丼、というイメージをぶち壊すかのごとく、この「まぜそば」は登場するやいなやネットでも賛否両論の嵐。
しかし、私にはその“賛否”こそが魅力に見えた。
牛肉・ねぎ・天かす・味噌ダレに加え、今回はキムチをプラストッピング。 その紅の刺激が、どこか夏の焦燥とリンクするようで……もう見た瞬間に心が踊った。
ちなみに、卵は別皿で提供されたのだが──私はそれだけで一気に飲み込んだ。
なぜなら、私は“まぜ”に“まろやかさ”を求めない。
まぜそばとは、「味のカオス」を楽しむ料理。 ひと口ごとに違う表情を見せる、まるでジャズの即興演奏のような混沌。 そこに卵のような“調和”を求めるのは、野生のスープにクラシックの指揮棒を持ち込むようなものだ。
まぜまぜすればするほどに、具材たちの個性がぶつかり合い、火花を散らす。
まぜそばとは、カオスであれ。
だからこそ、吉野家の“牛肉入りまぜそば”は意味を持つ。 この店が“丼”の概念にカオスをブチ込んだという、その姿勢に、私は拍手を送りたい。
暑い夏こそ、ぬるま湯より刺激。 胃袋の冒険、開幕だ。



