痛みによる愛の証明

 

通販好き、健康好き、の奥さんが、また何かを手に入れてきた。

今回は――なんだこれ? 無数の白い円盤がびっしり貼りついたマットと枕。 「シャクティヨガマットっていうのよ。健康にいいんだから、毎晩使いなさいね」

 

 あ、はい。

 

その夜から、僕は義務を課された。 風呂あがりに素肌でその上に寝そべる、という試練である。

「いったああああああああっ!!」

 

思わず、悲鳴が漏れる。いや、漏れるというより、魂が叫ぶ。

 

 まるで数百本の針が背中に刺さるような刺激――いや、もうこれは攻撃では?

 

ただ寝てるだけなのに、全身が「ひいいい」と泣き叫ぶ。

 

しかし、奥さんはこう言うのだ。 「それが“効いてる”ってことよ」

 

いや、確かに効いてるけども!

 

そして最大の難関は、起き上がる瞬間。 背中にくっついてた円盤たちが、「させるかぁ!」と言わんばかりに 最後の一刺しをくれてくる。

でも不思議なもので―― 終わったあと、少しだけ背中が軽い気がする。 血が巡ってるのか、それともただの痛みの名残か。

 

今夜もまた、畳の上にマットを敷き、僕は覚悟を決める。 これはきっと――愛の形。 ……だと信じたい。