古事記が好きだ。 神々の物語は、まるで人間くさい舞台劇のようで、読めば読むほど面白い。
でも、ふと思う。 アマテラスやスサノオはたくさん語られるのに、 ツクヨミ(月読命)って、何でこんなに目立たないんだろ?
三貴神のひとりなのに、 登場は一瞬、物語もあっさり、 その後の消息はまるで“月の裏側”のように沈黙したまま――。
けど、僕は最近気づいたんです。
ツクヨミって、あれだな――幕の内にたまに入ってる結び昆布。
派手さはない。 肉でもないし、カラフルでもない。 それでも、煮汁をじっと含んで、 そっと隅っこで弁当全体の“気配”を引き締めている。
いない日は誰も気づかない。 けれど、いる日は「あ、今日は昆布やな」と、 ちょっとだけ嬉しくなる。 それがツクヨミのような存在かなと思う。
アマテラスは唐揚げ。 スサノオはチキン南蛮。
そして、ツクヨミは幕の内弁当に入ってる結び昆布。
そんな風に、語られすぎない存在にこそ、 静かな意味が宿っているのかもしれない。
花むらの幕の内。 その隅に、今日も「気配の神」がちょこんと座ってるかもしれません。
しらんけど(笑)