あえて、山菜。あえて、温かい。

 

──山菜そば定食を前にして

 

今日も30度超えの夏日。 こんな日は誰もが「ざる蕎麦!」と叫ぶ……のかもしれない。

 

だが私は、あえて温かい山菜そばを選んだ。

なぜか? 山菜のシャキシャキ感が、暑さをねじ伏せるからだ!

 噛むたびに「山の涼」が口の中でざわめく。

 

 ふと目を閉じれば、高原の木陰に吹く風──そんな妄想すら芽生える。

 

熱々のそばつゆは、ただの出汁じゃない。 身体の芯に「落ち着けよ」と語りかけてくるような、どこか包み込む温かさ。

 

そして、冷奴の出番である。

 

 「お待たせしました、冷涼担当です」と言わんばかりの登場感。

 

鰹節を背負ってキリッと冷えた豆腐が、火照った体をひと息でクールダウン。 この温冷コンビ、夏こそ輝くんだよ。

 

ご飯はもちろん、香り豊かな炊き込み。 口の中で味の交響曲が開演され、気づけば完食──

 

暑い夏にざるそばではなく温かい山菜そば。

 

一見、季節に逆行した選択に思えるかもしれない。

 

でも、口に運べばわかる。

これは「間違い」ではなく、「信じた道」だったと。

 

人生だってそう。 みんなが右を向いているとき、 左を向くのはちょっと勇気がいる。 でも、そこにしか見えない景色もあるんだ。

 

今日の一膳は、 ただの定食じゃない。

 

 「選ぶこと」「信じること」「味わうこと」

 

──その全部が詰まっていた。