花むらの煮鯖は、ただの「おかず」ではありません。 それは、“魂” をかけて煮る、二人の職人の手仕事です。
厨房に届く新鮮な鯖。 それを一枚ずつ竹の皮に包み、丁寧に並べ、大鍋へ。
火を入れると、そこはまるで蒸し風呂。 真夏ともなれば、熱気で呼吸すらままならない。 でも、鍋から目は離せません。
火加減ひとつ、煮詰めるタイミングひとつで すべてが「台無し」になる世界。
焦がすわけにはいかない。 味が入らなければ、それもまた失敗。
それを見極められるのは、世界に二人だけ。
経験と、感覚と、執念だけが頼りです。
汗をぬぐい、黙って鍋を見つめながら―― 今日も、ただただ「鯖」と向き合う。
なぜ、そこまでして続けられるのか?
それは、 「この煮鯖を待ってくれてる人がいる」と、信じているからです。
毎日欠かさず食べに来てくれるあのお客様の顔。 「やっぱり、ここの煮鯖やな」と言ってくれる声。
それが、私たちのすべてです。

