最近、SNSを見ていると
言葉が少し“とがって”いるなあ、と感じることがある。
色んなお店、食べ物の投稿でも、
「イマイチ」
「失敗」
「おすすめしない」
そんな言葉が簡単に並ぶ。
もちろん、店側は評価されることは宿命でもある。
お店をやっている以上、それは分かっているつもり。
けれど、画面の向こうには
ちゃんと「人」がいる。
どんな店も、どんな料理も、
そこには
仕込みの時間や、迷い、工夫、試行錯誤や疲れ、
小さな気づき、少しの誇り、
そして「今日もちゃんと作ろう」という想いがある。
それが、
たった一言の強い言葉で断ち切られてしまうとき、
心のどこかが、ひやり、とする。
僕は、
「ご飯から立ち昇る湯気みたいな言葉」が好きだ。
あの、ふわっとしていて、
熱すぎず、やさしくて、
そばにいるだけで心がほぐれるような世界。
怒りでもなく、
マウントでもなく、
誰かを下に置くことで安心するのでもなく。
ただ、
“ああ、今日も生きてるな”
って思わせてくれるあの湯気。
人は、温かいものを食べると、
自然と呼吸がゆっくりになる。
言葉も、それと同じだと思う。
僕は、強い言葉で注目を集めるより、
静かな言葉で、寄り添いたい。
自分が言われたら嫌なことは、人に言わない。
それは、弱さではなく、
ひとつの美意識だと思うから。

