「幕の内弁当って、どこにでもあるでしょ?」
そう思われるかもしれません。
焼き魚が入って、煮物が入って、ちょっとした副菜が並んでいて。
いわば“お弁当の王道”。
でも、花むらにとっての幕の内は、
ただの“王道”ではありません。
花むらの幕の内弁当は、
煮物が主役です。
しかも、その煮物は既製品ではありません。
毎日、大鍋でじっくり時間をかけて炊いています。
火を入れて、味を含ませて、また火を入れて。
気がつけば、5時間。
手間で言えば、正直、効率は良くありません。
もっと楽な方法はいくらでもあります。
それでも、やめない。
なぜか。
「この味でないと、ダメ」だからです。
花むらの幕の内を買ってくださるお客様は、
ご年配の方が多いです。
「これだったら食べきれるわ」
「味付けがちょうどいい」
「なんか、ほっとする」
そんな言葉をいただきます。
油でごまかすのではなく、
濃い味で押すのでもなく、
ちゃんと素材に味を含ませる。
派手さはないけれど、
食べ終わったときに「ちょうどいい」と思える。
それが、花むらの幕の内です。
正直に言えば、SNSで見かけるお弁当のような
“キラキラした映え”はありません。
チーズが伸びるわけでもなく、
ソースが溢れるわけでもない。
でも、
毎日食べられる強さがあります。
花むらの幕の内は、
特別な日のごちそうではありません。
むしろその逆で、
-
いつもの昼ごはんに
-
ちょっと疲れた日の夜に
-
家族のために買って帰る一折に
そんな“日常”に寄り添うためのお弁当です。
そしてもうひとつ。
このお弁当は、
人の手で作られています。
朝早くから、
大鍋の前に立つ人がいて、
重たい釜のご飯をよそう人がいて、
ひとつひとつ、詰めていく人がいる。
その積み重ねが、
この一食に入っています。
だから、花むらの幕の内弁当とは何か。
それは、
「手間をかけた普通」であり、
「毎日食べられる贅沢」であり、
「ほっとするためのお弁当」です。
派手ではないけれど、
なくなると困る。
そんな存在であり続けたい。
今日も、変わらず大鍋で炊いています。
