派手なおかずなんて、いらない。
そんな日もある。
いや、むしろ
そんな日の方が、うまい。

湯気の立つ豚汁と、
ほんのり香ばしい麦ごはん。
それだけ。
それだけなのに、なぜか箸が止まらない。
一口、また一口と進んでいくうちに、
気づけば茶碗は空っぽになっている。
豚汁は、ただの汁物じゃない。
中には大根の甘みも、豚肉のコクも、
いろんな旨みがぎゅっと詰まっている。
つまりこれは、
立派な「おかず」なのだ。
ここに――
真っ黄色なたくわんでも添えようものなら、もう完璧。
ポリポリとした歯ごたえが加わって、
白と茶色の世界に、ひと筋の光が差し込む。
豪華じゃない。
でも、これでいい。
いや、これがいい。
人間って不思議なもので、
こういうシンプルなごはんの時ほど、
「ああ、生きてるなあ」と思ったりする。
豚汁があれば、麦ごはんは何杯でもいける。
この説、
けっこう本気で、正しいと思っている。
