唐揚げ。
日本人は、なぜこんなにも唐揚げが好きなのでしょう。
私も好きです。
お弁当屋を長年やっていますが、いまだに揚げたての唐揚げを見ると、
「うまそうやな……」
と思います。
仕事です。
毎日見ています。
それでも思います。
特にこの瞬間。
フライヤーの中で、
パチパチパチパチ……
ジュワジュワジュワ……
衣の表面から小さな泡が猛烈に出ている。
あの姿は反則です。
そして唐揚げという食べ物には、ひとつ大きな特徴があります。
揚げたてが、とんでもなくうまい。
もちろん冷めても美味しい。
だからお弁当のおかずとして、これだけ長く愛されているわけです。
でも。
揚げたては、ちょっと別物です。
衣がサクッ。
中から肉汁。
熱っ。
でも、もう一口。
熱っ。
もう一口。
この繰り返しです。
口の中を軽く負傷しながら、それでも食べる。
人間というのは愚かな生き物です。
さて。
ここで私には、長年の悩みがあります。
「できれば、お客様に揚げたてを食べてもらいたい。」
でも同時に、
「お客様を待たせたくない。」
これです。
お弁当屋という商売は、基本的にお客様が急いでいます。
お昼休み。
仕事の途中。
家に帰る途中。
「弁当ひとつ買うのに10分も20分も待ってられへんわ」
という気持ちも、よく分かります。
だから私たちも、できるだけすぐお渡しできるように準備しています。
ところが唐揚げの場合。
フライヤーに入れてから、約4分。
たった4分です。
カップラーメンより、ちょっと長いくらい。
スマホを見ていたら、たぶん一瞬です。
でも、お店で待つ4分というのは不思議なもので、
長い。
信号待ちの1分と同じです。
家でYouTubeを見ている4分なんて一瞬なのに、
レジの前の4分は妙に長い。
時間というものは、場所によって伸び縮みするらしい。
アインシュタインも、たぶんそこまでは言っていません。
だから悩むんです。
揚げたてを食べてほしい。
でも待たせたくない。
待たせたくない。
でも揚げたてを食べてほしい。
唐揚げを見ながら、
「どうしたもんかなあ……」
と考える。
だいぶ平和です。
でも、結構本気です。
もし、お時間に少し余裕のある日なら。
4分。
ほんの4分だけ待ってもらって、
揚げたての唐揚げを食べてみてください。
揚げたての唐揚げ。
パチパチと油の音を立てながら、
今日も花むらの厨房で揚がっています。
できれば一番おいしい瞬間に、
食べてもらいたいんですよねえ。
ただし。
熱いです。猫舌さん、
そこだけは自己責任でお願いします(笑)
