弁当屋は毎日、ちょっとした賭けをしている。

最近、スーパーへ行く時間が遅くなりました。

なぜか。

閉店間際を狙っているからです。

さらに、なぜか。

大好きな刺身の盛り合わせに、

「半額」

のシールが貼られているからです(笑)。

いやあ、我ながら実にしがない庶民的発想であります。

でも不思議なもので、一度あの赤い「半額」シールの威力を知ってしまうと、

「これ、もうちょっと待ったら半額になるんちゃうか……」

などと考えてしまう。

通常価格で買うのが、なんだかもったいないような気までしてくる。

いかん。

完全に半額シールに飼いならされている(笑)。

もちろん、スーパーだって好き好んで半額にしているわけではないでしょう。

本当なら通常価格で売りたい。

でも刺身は明日まで置いておけない。

売れなければ廃棄になる。

だったら、値段を下げてでも誰かに食べてもらった方がいい。

最近ではコンビニでも、夕方になると値引きシールの貼られたお弁当やおにぎりを見かけるようになりました。

買う側に立てば、

「お、ラッキー。」

で済む話です。

ところが売る側に回ると、これが実に悩ましい。

商売というのは、本当に難しいものです。

弁当屋も毎日、ちょっとした賭けをしています。

今日は何人のお客様が来てくださるのか。

唐揚げ弁当はいくつ出るのか。

日替わりは何個作ればいいのか。

少なすぎれば、

「せっかく来たのに売り切れやん。」

となる。

だからといって多く作れば、今度は余る。

未来が見える水晶玉でもあれば、全店舗に一個ずつ置きたいところです(笑)。

10月は「食品ロス削減月間」です。

食品を扱う仕事をしている以上、これは花むらにとっても他人事ではありません。

もちろん毎日の販売数を見て、曜日を見て、天気を見て、

「今日はこれくらいやろう」

と考えて作ります。

それでもピッタリにはなりません。

急に雨が降る日もある。

予想外にお客様が多い日もある。

なぜか今日はこの商品だけ動かんなあ、という日もある。

逆に予想以上に売れて、

「もっと作っとけばよかった!」

という日もあります。

ここが難しい。

食品ロスをなくすだけなら、絶対に余らない数しか作らなければいい。

でも、それでは昼過ぎに来てくださったお客様に、

「何もないやん。」

と言わせてしまう。

作りすぎない。

でも、売り切らさない。

この二つの間を毎日ウロウロするのが、弁当屋の仕事でもあります。

それでも最後まで残ってしまったお弁当や、何らかの事情で余ってしまったお弁当があります。

そんな時、花むらでは午後から「TABETE」というアプリに出品しています。

まだ食べられる。

ちゃんと作ったお弁当です。

だったら捨てるより、誰かに食べてもらいたい。

考えてみれば、僕が夜な夜なスーパーでやっていることと同じです(笑)。

スーパーでは僕が刺身をレスキューする。

花むらでは誰かが弁当をレスキューしてくれる。

……なんだ。

僕も食品ロス削減に貢献していたのか。

ただ半額の刺身が食べたいだけですが(笑)。

食品ロス削減というと、なんだか大きな社会問題のように聞こえます。

もちろん実際、大きな問題です。

でも僕らにできることは案外もっと小さい。

作りすぎない。

食べられるものを捨てない。

そして、余ってしまったものを食べたい人につなぐ。

花むらのお弁当がTABETEに出ていたら、

「ああ、今日はちょっと余ったんやな。」

くらいに思ってください(笑)。

そして、

「ほな今日の晩ごはん、これにしよか。」

と誰かが連れて帰ってくれたら。

作った側としては、それが一番うれしい。

売れ残るはずだったお弁当が、

誰かの「いただきます」に変わる。

そんな小さなことも、食品ロスを減らす一歩なんやと思います。

さて。

明日も帰りにスーパーへ寄ろう。

刺身の盛り合わせ。

……半額になってるかな(笑)。