柿がうまい。
実にうまい。
先日、頂いた柿をむいて食べた。
鮮やかなオレンジ色。
ひと口かじると、ほどよい甘さが口いっぱいに広がる。
うん。秋だ。
思えば、子どもの頃は柿にそれほど魅力を感じなかった。
果物といえば、イチゴやメロン、ブドウ。
華やかな果物に比べると、柿というのは少々地味な存在だったように思う。
ところが、年齢を重ねるにつれて、この柿が妙にうまく感じられるようになった。
不思議なものである。
特別な香りがするわけでもない。
派手な酸味があるわけでもない。
ただ、静かに甘い。
この控えめな甘さが、なんとも心地よい。
若い頃にはわからなかった魅力というものが、世の中にはあるらしい。
そういえば秋という季節も、若い頃とは感じ方が違ってきた。
昔は秋といえば、夏が終わってしまった寂しさのほうが大きかった。
ところが今はどうだ。
朝晩の涼しさがありがたい。
空の高さが心地よい。
そして、柿がうまい。
なんとも安上がりな幸せである(笑)
しかし、考えてみれば贅沢な話ではないか。
誰かに祝ってもらったわけでもない。
特別な場所へ出かけたわけでもない。
ただ柿をむいて、お皿に並べて、食べただけ。
それなのに、ちゃんと幸せを感じられる。
人生の楽しみというのは、案外こういうところに転がっているのかもしれない。
さて、秋も深まってきた。
柿がおいしい季節。
食欲の秋とはよく言ったもので、秋には秋の味覚がある。
栗、サツマイモ、サンマ、松茸。
……松茸だけは、なかなか縁がないが(笑)
今日もおいしく柿をいただいた。
ごちそうさまでした。
秋は、こういうのでいい。
