お弁当販売をやめたくなるとき

 

お弁当屋をしていると、どうしても胸が痛くなる瞬間があります。

どれだけ心を込めて作っても、
どれだけ「今日こそ全部届け」と願っても、
お弁当は必ずしも毎日、きれいに完売するわけではありません。

夕方になると、各店舗で残ったお弁当を
フードロス削減アプリ「タベテ」に出すことがあります。
ありがたいことに、気づけば完売している日も多い。

それでも——
どうしても売り切れない日がある。

もちろん廃棄はしません。
従業員に持ち帰ってもらったり、知り合いに食べてもらったり。
食べてもらえる場所があるだけでも救われるのですが…

それでも心のどこかで、どうしようもない思いが残ります。

世界には、今日の食事にも困っている人がたくさんいる。
飢えに苦しむ子どもたちもいる。

そんな中で
「余ってしまった食べ物を前に立ち尽くす自分」がいて、
ふと、お弁当販売をやめたくなる瞬間があるんです。

もし叶うなら、
余ったお弁当が
一瞬で、世界のどこかの“必要とする人”に届くような、
そんな仕組みができればどれだけいいだろう。

花むらのキッチンから、
地球のどこかの誰かのもとへ、
湯気のまま届いたらいいのに。

そんな途方もない願いを、今日もそっと抱えながら、
明日のお弁当をまた仕込みます。