神の座 ―カムクラ神話より―

 

神の座。

それは、太古より人々が争い、奪い合い、

血で血を洗う戦乱の世を静めるために

神々が人間界に与えた“癒し”の象徴——。

一杯のラーメンである。

 

白菜は、知恵と慈愛の象徴。

ネギは、神意を伝える緑の使徒。

そしてスープは、天と地をつなぐ琥珀の清流。

赤きレンゲは、かつて神が手にしていた神器だという。

 

伝承によれば、このラーメンを啜った者は

怒りを忘れ、

欲を手放し、

ただひたすらに「いただきます」と頭を垂れ、

湯気の奥に小さな平和を見るという。

 

「人の世を鎮めるは、刀ではなくスープなり」

 

そう言い残して、神は白菜の山に姿を消したと語り継がれる。

 

そして今、現代の和歌山のある場所にて

我はこの神の座の前にひざまずき、

再びそのスープをいただく。

 

ああ、このラーメンは、確かに

争いを鎮める味だ。

 

しらんけど(笑)